2015年3月3日火曜日

011:本質

Buenas tardes!!
こんばんは。

先月、東京都内の高校の野球部の投球動作講習会にて、講師としてお手伝いさせていただきました。

わかりづらいですが、左端の黒いシャツが私です。

高校生とは言え、一人一人上手な子が多い印象を受けました。

しかし、同時に、彼らのピッチングを見ても、そこから彼らの意志が伝わってこない印象を受けました。



言い方を変えれば、試合で勝つことのためにピッチングをしていると言いますか。。。
上手く言葉が見つかりませんが、彼らの意志がピッチングから伝わってこないのです。

はっきり言って、すごく上手なんですよ。コントロールもまあまあ良いし、球もそこそこ速く、バランスもそこそこ良い。ただ、全部が「そこそこ」や「まあまあ」でした。

そりゃあ、高校生なのだから、当たり前だろ!となりますが。。。
そういうことじゃないんです。

ピッチャーをやる以上、俺にはこれだけは譲れない!負けねえぞ!っていうものが1つでも無いと厳しいと思っています。

将来的にさらに大学、社会人、プロでやっていくにしても、試合で勝つにしても、同じことだと思っています。

そしてそれは、決して今レベルが高いものでなくて良いのです。
今その能力を持っていなくてもいいのです。
「150km/hのストレートを投げたい!」でも良いのです。

このような本人それぞれの意志や希望・願望で良いのです。

彼らのピッチングからは、その意志や希望・願望が伝わってきませんでした。
彼らに質問を投げかけました。「君はどんな球を投げたいの?もしくは、どんなピッチャーになりたい?」

彼らのほとんどが、「打ち取れるピッチャー」か「勝てるピッチャー」もしくは答えられない子がほとんどでした。

これらの回答を聞いたとき、正直言って、このままでは、まずいんじゃないか?と思いました。

答えられているのに、何がまずいのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、つまり、彼らの回答には彼らの具体的な彼ら自身に対するの求める姿・イメージがないからです。

「打ち取れるピッチャー」ってどんなピッチャーですか?「勝てるピッチャー」ってどんなピッチャーですか?

打者を打ち取る方法はたくさんあります。三振を奪うこと、内野ゴロを打たせること、フライを打たせること、、、

これらは全て、ピッチャーが一人で頑張ってどうにかできるものではありません。

打者が空振り、もしくはストライクを見逃してくれないと、三振にはなりません。

打者がボールの上半分を叩いて、内野手が捕球できる範囲に打球が飛び、内野手が捕球して、他の野手に送球して、捕球した野手が、ベースを踏む、もしくは、走者にタッチするなどしなければ、内野ゴロでアウトにはできません。

「勝てるピッチャー」も同じです。

勝つには、味方の打線が、相手の打線よりも多く点を取らなければ、勝つ投手にはなりません。
いくら防御率が0点で、失点ゼロでも、味方が相手から多く点を取ってくれないと、勝てないのです。

「打ち取れるピッチャー」や「勝てるピッチャー」という目標は抽象的である以前に、そうなるためには外的な要因が必要不可欠になってくるのです。

つまり、自分ではどうにもできないのです。
できたとしても、それは味方の協力や相手の失敗があって初めて成り立っていることを忘れてはいけません。

それに、勝負事で、相手のミスを待つということほど、レベルの低いことはありません。

なぜなら、相手のミスを待つということは、実力では負けていることを認めていることになりますし、相手のミスを待つのであれば、練習なんてやめて、神社で御祈りでもしていた方が良いと思います。

マウンドで我々ピッチャーがバッターと対戦する上で、できることはただ一つ、「自分の思い描く球を投げる」こと、そしてそれを繰り返すことです。

これが、ピッチングの本質ではないでしょうか。

その精度を上げるために練習が必要で、トレーニングが必要なのです。

まずは、自分が投げたい球を思い描くことから全ては始まります。
思い描いても、上手くいかなかったり、上手くいっても続かない、等、ギャップが生まれます。このギャップが生まれたときに初めて、ピッチングのメカニックの指導が始まります。

なので、まずは自分の投げたいボールは何か言ってもらうことから始めました。

そしたら、我々のアドバイスを選手が簡単に噛み砕き、自分のものに落とし込めるようになり、いとも簡単にメカニックの改善やパフォーマンスの向上が見られました。

そして、さらに言うと、この自分の思い描く球を投げることを繰り返していくことで、技術的な向上だけでなく、冒頭の「俺はこれだけは他の奴には負けないぞ!」というものが生まれ、やがて自信となり精神的にも強くなれます。


一応、当ブログはスペインの野球の情報の発信のためにやっているので、スペインの子どもたちの場合はというと、

彼らは全く逆で、どんな球を投げたいのかという彼らのイメージや意志が伝わってきます。
彼らはそういう面はとても強いですね。

なので、彼らのイメージに合った言葉かけやトレーニング方法を選択しやすいです。

ただ、全体的に日本人の子どもたちに比べて、練習熱心ではないので、時間がかかります。笑
なので、口で言うのを減らして、自分も一緒に練習して、背中で引っ張ってあげました。

すると、彼らも練習熱心な子に変わっていきました。

なかには変わらない子もいましたが。笑

また彼らに会うのが楽しみです。

とかなんとか、語っていますが、自分自身もこのピッチングの本質と自分自身のオリジナルのピッチングの本質の両方を忘れずに、これからも継続してトレーニングしていきます。

それでは。Adios!!